生命保険は、データで動くビジネスモデルであり、人工知能（AI）を駆使する技術的進歩に対する準備ができている業界であるように表面上は見えます。保険会社は、ますますデジタル化が進む世界において業界が直面する課題に対処する上でAIを利用する機会を求めています。

AIのイノベーションは重要ですが、社会的に孤立した状態では起こりえません。信頼できるAIシステムの開発、配備、利用を推進するため、公共の利益にかなった行動となるイノベーションには、倫理的検討が不可欠です。その結果ここ数年にかけて、学界、民間セクター、政府関係機関、保険業界団体、シンクタンクが、倫理的、良心的、責任ある方法でAIの発展を目指す多くのガイドラインを出しています。

本稿は、生命保険業界におけるAIシステムの利用の導入論、今日までに挙がっている倫理的懸念と公表されているガイダンスに対するインサイト、またAIが対象となる倫理面に影響を及ぼす要素について論じます。